ザ・イケ武者コンテスト
(2012年3月24日)


 菊池イケ武者コンテストに初参戦。
 この日は誕生日ということもあり、これはグランプリの予感が漂いまくる。36歳ということは、興国2年没説をとっても、武重公より長生きできたことになる。

 このイケ武者祭り、菊池24代(宇土為光、菊池武経、菊池義武はかわいそうなことにカウントされない)にちなんで、書類選考で選ばれた24人が参加するもの(応募は50人だったとのこと)。それぞれ24代の誰かに扮するのであるが、応募順に機械的に割り振られるとのこと。私は応募したのが遅めだったので、20代以降という予想だった。10代武房公は無理だろうな…。

 送られてきた書類によると、審査内容は見た目、動(パフォーマンス)、静(ラブレターの出来)。ラブレターは「このあいだはごめん、ぼくが悪かったよ。許してほしい」の後にに一言を付け加えてMCのギャルをきゅんといわせろというよくわからないもの。ともあれ武房公になった時のことを考え、「蒙古の軍勢が急に博多を襲ってきやがって戦っていたんだよ。俺は菊池武者だからさ!」という日本一かっこいいセリフにした。

 さて到着すると誰に扮するか判明。
 なんと武時公!福岡から参加の私が博多で戦死した武時公!櫛田神社に間違って攻め入ったといわれる武時公!これはもう神がグランプリを受賞しろと言っているようなものだ。
 ラブレターの内容も武時公に合わせて「博多の探題館に討ち入りをしてたんだ。戦死しちゃったけど、それでも君に会いに来たよ」という日本で二番目にかっこいいセリフに変更した。

 ところが着付けをしていると係の人がやってきて、「一人欠席になったので、ちょっとズレますね」と武時公の旗指物をひょいと持っていく。せっかくラブレター考えたのに…、と新たにもってこられたのは武重公だった。いや、武重公でも非常ありがたいはずなのだけど、福岡との絡みが少し弱い…。しかし、武重公の享年と近い年齢だし、これもまた何かの吉兆かもしれない。
 ということで、「京に上って足利勢と戦っていたんだ。千本槍を駆使して敵を追い散らし、君に会いに戻ってきたよ」という日本で三番目にかっこいいセリフに変更した。

 しかし初めての甲冑が動きにくいこと…。パフォーマンスはかつてプレーしていたアメフトのドリルを一人でやろうかと思っていたけどこれでは無理、出身高校独特の体操という代案も無理、ということで、菊池一族への愛をひたすら語ることにした。しかしせっかく用意した小道具類(米式兜、米式てつはう、扇子)は着用することにした。
 さてそのパフォーマンスの時間がやってきた。参加者にはなぜかモデルやらハーフやら留学生やら強敵がわんさかいる。しかしモデルのウォーキングをしたり、武道の型を披露したり、剣舞を披露するなど、菊池要素は皆無。ますますグランプリの予感が。

 そして出番。持ち時間は一分。菊池一族のおっかけをライフワークにしていること、かつて史跡を求めて菊池でうろうろしていたら警察に不審者扱いされたので、次回からその時は「ここのイケ武者ですが」と回答できるようにと参加したことを説明し、「アメフトのドリルを披露しようとしたけど鎧で動きがとれず断念します、いやー昔の人はすごいですね」と軽口をたたいた後、「かわりに菊池一族への愛を語ります」と言って、さわやかにカッコよくボールを遠投して話に入るつもりが鎧で肩が上がらず(ていうか、ボールを全力で投げること自体が何年振りか)、へなへなボールがぽとりと落ちただけだった。

 ともあれ、「福岡と言えば武時公、その武時公が間違って攻め入ったといわれるのは櫛田神社…。なお、並び鷹の羽をモチーフにした指輪も作った。でもって…」というところで男性MCの「ありがとうございました〜」という邪魔が入る。事前の打ち合わせで「ずっとしゃべってるんで適当なところで終わらせてください」と言ったのだが、受けを狙って短めにカットインしてきたのかもしれない。いや、前半の説明でよけいな時間を食ってしまったかもしれないが…。
 最初の出番が終わるとあまりの失態に自害を試みるも腹は甲冑で切れず、首も皮が厚いようで切れなかった。次のラブレターで挽回を狙う。

 気を取り直してパフォーマンスの出遅れを取り戻すべく、次の出番へ。
 「このあいだはごめん、ぼくが悪かったよ。許してほしい」の後にに一言を付け加えてMCのギャルをきゅんといわせろ、というよくわからない企画。ボケてもマジでもいいらしい。

 モデルが歯の浮くようなセリフを言ったり、ハーフがI love you.と言ったり、留学生が片言の日本語を駆使してアピールしたりしたが、やはり菊池要素は皆無だ。これはまたもチャンス到来か。

 私は旗指物のように武重公であることを前置きした上で、予定通り「(デートに行けなくてゴメン。)京に上って足利勢と戦っていたんだ。けど千本槍を駆使して敵を追い散らし、君に会いに戻ってきたよ」と、どかんとかましたところ、前列の方のおばちゃん達から「おぉ〜」という声が聞こえた。ふふふ…、これは見事に決まったか。
 しかしMCの審査員ギャルはぽかんとしている。どうやら武重公の事をよく知らないようだ。「扮した人物に合わせてセリフを選ぶのはすごいですね」的なフォローを(男性MCが?)してくれたが、それでもよくわかっていないようだった。鉄板だと思っていた武重公ネタがまさか審査員に通用しないとは…、まさしく武時公が「少弐や大友を信じた自分が馬鹿だった」と嘆いた心境だ。

 ともあれこれで審査はすべて終了。菊池クイズがサプライズであるとひそかに期待していたのだが…。前回はあったらしいが、このよくわからないラブレター企画に変更されてしまったのかもしれない。しかしまぁ、菊池要素に最もあふれていたのは私だという自負はあったし、他の審査員達はわかってくれているといいなと審査結果を待つ。

 まずはケーブルテレビ局の特別賞、これはケーブルテレビ局の人(たぶん)が受賞。
 若い人がんばった的な賞、これは地元の初々しい高校生が受賞。
 ユーモア賞、これは強面にもかかわらずかわいくマルモリを踊ったおっちゃんがめでたく受賞。

 そしてメイン三部門の発表だ。残った20(たしか)人中3人。最初のトークで出遅れたものの、菊池要素には自信があるがどうか。個人的なライバルは15代武光公に扮しながら、面白い手品を披露したりラブレターもノリの良かったおじちゃん。一番インパクトの強かった人だ。

 まずは審査員特別賞。これは剣舞を披露した留学生だった。そこそこイケメンだし、せっかく留学生が参加したのだからこれはなるほどだ。
 そして準グランプリ。これは空手の型を披露し英語でI love you.と言ったハーフが受賞。イケメン枠も必要だろうから、これもなるほどだ。
 となると、もしかしてグランプリは菊池愛にあふれる私か、もっともインパクトが強かった例のおっちゃんか!?イケメン枠はハーフが既に受賞したし、そもそもモデルは東京に行くと自己紹介で言っていたので、これはなさそう(受賞者は観光協会が今後行うイベントに参加するのが条件)。準グランプリか審査員特別賞はあってもおかしくないと思っていたのだが、はたしてグランプリはおっちゃんか私か…。



 なんとモデルさんが受賞した。なんでだ!菊池24代の名前と業績も言えそうにないし、武房公が蒙古を蹴散らしたことも、武時公が探題と闘ったことも、足利尊氏が九州にやってきたことも知っているかどうか怪しい…。東京に行って菊池のPRしてくれるのだろうか?私ならお願いされなくてもよろこんで勝手に菊池をPRするのに…。そもそもここでモデルさんがここでグランプリ獲っても箔にもならないだろうに、なんでよりによって今年参加したんだ…。

 結果を見ると、なるほど「きたれ!イケメン」のキャッチフレーズそのままに、イケ面上位3名が選ばれた格好だ。それに24人を本当に短い時間で審査するのだから、ルックス偏重は仕方がないことではある。受賞枠が4名だったら、きっと私も…いやなんでもありません。
 しかしラブレター企画は残念ながら明らかな失敗だと思う。来年はさすがにやらないのではないか。

 ただ、真のNo.1が私であったことは、この写真が物語っている(と思いたい)。
 センターに位置させられたのは、常にこの私だったのだ。センターの重要性はA○Bをみればわかるだろう。終わった後、顔なじみの観光協会の方に呼び止められ、「今日はわざわざ鎧まで着に来てくれてありがとうございます」とねぎらわれた。そうか、やっぱり私はほっといても菊池をPRしてくれるので、あえて受賞を見送ったのだと言うことなのだろう。いや、きっとそうに違いない。いや、たまたま24代の真ん中にあたる13代武重公に扮しただけなわけだが…。

 なお、「リベンジの気持ちは友人に託してください」という説明が最後にあり、今後はもう参加をしないようにとやんわりと釘を刺されてしまったのだった。ちゃんちゃん。


 その後はヘリコプターに乗ったり、昨年末にできた隈部親永像を見て帰ったのだが、それはいずれ紹介ということで。